【インサイト】意識下の欲求
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「インサイト」というのは、JWTの桶谷功さんが提唱したマーケティングコンセプトです。
※現在は独立して活動されています。
インサイトとは何なのか?簡単に説明すると、
「消費者自身が気づいていない欲求を喚起することで、消費行動を起こさせることができる」
というコンセプトです。ユーザー調査では直接わからない、まだ顕在化していない大衆の欲求を、仮説思考で探り当て、ピンポイントで突こうとするものです。
マーケティングの世界は流行りに弱いので、普段のビジネス会話でよく使われています。
「そのユーザーインサイトってどうなのよ?」
とか、
「消費者インサイトから考えれば、このアプローチがアリだと思います」
みたいな(笑)
桶谷さんが提唱したもともとの文脈とはかなりかけ離れた使われ方、誤解をされていることがすごく多いんですね。すでに顕在化したユーザー意識をインサイトって言っちゃってるわけです。
表面に出ているユーザー意識は、本来のインサイトとは言わないのに。
消費者が、ある商品やサービスに触れて、それまで意識したニーズじゃなかったけれども、
「これこれ、これだよ!」
みたいに自分の真芯を突かれるような感情。
これによって、マルコム・グラッドウェルが言うティッピングポイントを超えて、物事がブレイクするんですね。
アップル製品で例えると、iPhoneなんかそうです。
それまでは物理的なキーボードを備えたスマートフォンが当たり前で、ブラックベリーとかをこれ見よがしに使っていたのに、タッチパネルで指先で気持ち良く操作するインターフェースに触れると、
「自由に情報を操作する心地よさ」
を感じて、夢中になってしまうんですね。
膨大なネットの世界をチマチマとしたキーボードで操るより、自分が主体的にコントロールしているような感覚を味わいたい。それが、スティーブ・ジョブズたちが突いた「インサイト」なわけです。
消費者の潜在意識にあり、まだはっきりとは自覚されない感情を直感的にとらえて狙撃する。インサイトマーケティングについて僕が思うイメージです。スティーブ・ジョブズはこの手法の天才だったと思うんですね。