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オールドフェラーリと老人

   

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Photo:http://www.bs-asahi.co.jp/cgtv/prg_20041026.html

およそクルマとの付き合い方で、この人以上にダンディな人を僕は知りません。

このご老人は、岡田さんという人でずっとアメリカで生活していた人です。この人が乗っていたのがフェラーリ250LM。ル・マン24時間耐久レースに出場するために開発されたレーシングカーです。

ステアリングにパワーアシストなんかないし、エアコンもない。クラッチはめちゃくちゃ重い。

そういうスパルタンなクルマを、高齢の岡田さんはこともなげに乗りこなしていたんですよ。レーシングカーを普段の生活に使うというのは、クルマ好きの憧れの一つですけど、岡田さんはそれをしていたんですね。

右ハンドルのマシンだったので、料金所でコインを払いやすくするために、柄の長い金属製のひしゃくのような道具を自作してそれでお金を払う。

助手席を外してスペアタイヤを積んでおく。

オリジナルの状態を維持することに全くこだわらず、自分がいいと思った改造を加える。ボディはピカピカではなく薄汚れてすらいる。

そんなふうにして、岡田さんはニューヨークの郊外をさっそうとオールドフェラーリで走っていたんですね。ある種のファンが見たら岡田さんの250LMは邪道です。

でも、そんなことはどうでもいいんです。

「レーシングカーを街中で走らせたい」という気持ちで、自分の好きなクルマに好きなように手を加えて乗り倒す。

お金持ちがまるでミニカーのように高級スポーツカーを集めても、まったくカッコよくありません。「ああ、金持ってんのね」てなもんです。

たった一台の愛車とどこにでも行く。クルマ好きならかくありたいですよね。

その後岡田さんは亡くなり、この250LMは他のオーナーの手に渡ったと聞きました。願わくば、ガレージにしまい込まれることなく、元気に走っていてほしいものです。

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