【考察】なぜ、フェラーリは神話化されたのか?
これは、288GTOというクルマで、フェラーリの中でも大好きな一台です。F40ほど一般的ではありませんが、エレガントなエクステリアと、ハイパワーなエンジンを併せ持ったある種狂気のマシンです。
今回は、フェラーリがなぜこれほどのブランドになったのかの話です。
メルセデスが尊敬される理由は、この記事で書きました。http://reo01.net/2015/10/19/post-857/
世界で最も明確な大義を持った自動車会社だからだという話ですね。では、フェラーリはいったい何なのか?
国家の威信を背負っているからでしょうか?
違うと思います。国の威信なら、GMはアメリカの威信を背負っているし、トヨタは日本を代表する自動車メーカーです。フランスならルノーになるし、韓国ならヒュンダイでしょう。これらの自動車会社が唯一無二のブランドだとは思いません。
レースに出ているから?
違います。レースなら、古今東西のメーカーが参戦しています。ル・マン24時間耐久レースで、最も勝利を収めたのはポルシェです。F1だって、勝つ時もあれば負ける時もあります。
高価だから?
価格だけなら、フェラーリより高いクルマは何台もあります。たとえばブガッティがそうです。
じゃあ一体何がフェラーリを特別な存在にしているのか?
それはたぶん、フェラーリが他のどんな自動車メーカーよりも、人の本能に訴えかけるクルマを作ってきたからじゃないでしょうか。
最も感情を呼び覚ます色である赤をまとい、ボディデザインは官能的。走り去る時のエンジン音は泣き叫ぶような高音を発している。
第一回からF1レースに参戦していて、事故死したドライバーは一番多く、大量の血を流しています。それでもレースをやめないし、たとえ劣勢でも死力を尽くして戦う。
そしてレースを愛し、女性を愛した稀代のカリスマ=エンツォ・フェラーリ。
こうした複数の要素が、重層的にフェラーリというブランドを奏でているのではないでしょうか。フェラーリに似た存在は、いまもまったくありません。