意思決定の際に重要な、6つの質問
スペンサー・ジョンソン(「チーズはどこへ消えた?」)著。ダイヤモンド社刊。
意思決定は得意ですか?
思えば、人生は選択の連続です。お昼に何を食べるか?というレベルから、どの大学に進むか、どの会社に就職するか、どんな友だちや異性とつき合うか、どんな人と結婚するかなどの無数の選択を経て、現在の場所に辿り着いているわけです。つまり人生は、意思決定とその結果によって大きな影響を受けるわけです。
この本は、そこに焦点を当てて、よい意思決定をするためにはどんなことが必要かを、ストーリー仕立てで解説しています。
ある若者が、よい意思決定をするための方法を学びたいと思い、ガイドつきのハイキングに参加しました。若者が出会う人々は、それぞれがちがったバックグラウンドを持ち、みなよい意思決定をするためのトレーニングを積んできました。若者は彼らとの会話を通じて、よい意思決定をするための方法を学んでいきます。
二つの問いがありました。「実際的な問い」と、「内面的な問い」です。
前提となるのは、次のような考え方です。
「イエスかノーか」
→不確かなことに基づいて決断をためらったり、中途半端な意思決定をしたりしない。常に的確な意思決定をするために、冷静な頭と熱い心の両方を働かせること。「実際的な問い」によって、頭を働かせる。「内面的な問い」によって、心に尋ねる。それから、自分自身の声とほかの人たちの言うことに耳を傾けたのち、的確な意思決定をし、それを実行する。
そして、二つの問いの内容とは、
「頭を働かせるための実際的な問い」
→私は本当に必要なことに応えているだろうか、選択肢がわかっているか、そして、考え抜いているだろうか?イエスか、ノーか?それはたんに望んでいることか、それとも本当に必要なことか?どんな情報が必要か?選択肢をあらいだしたか?もしそれをしたら、どうなるだろう?それからどうなるか?
「心に尋ねるための内面的な問い」
→意思決定をするとき、自分に正直になっているか、直観を信じているか、そして、自分の価値を信じているか?イエスか、ノーか?真実を認めているか?これでいいと感じているか?もし不安を感じていなかったら、どんな意思決定をするだろうか?もし自分の価値を信じていたら、どうするだろうか?「イエス」なら実行する。「ノー」なら考え直す。私にとって、よりよい意思決定とは?
というものでした。
「イエスかノーか?」というきわめてシンプルな自問によって、意思決定を明確にするというルールのもと、論理的に思考する「実際的な問い」と、心の声に耳を傾ける「内面的な問い」の両方を用いるところがポイントです。言い換えれば、論理を司る左脳と、感覚を司る右脳のどちらもフルに使って判断しようというわけです。
自己啓発本の多くが、論理的な思考と直感・直観を併用して目的を達成することを勧めていますが、これはつまり、自己啓発の本質に、右脳と左脳=全脳を活用することがあるからかもしれません。
この本の中である参加者の言葉が印象的です。「ベストな意思決定ができなくても、よい意思決定ができれば十分なのだ」