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【ジョブズ本】「スティーブ・ジョブズの流儀」

      2015/12/15

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リーアンダー・ケイニー著。ランダムハウス講談社刊。

アップルや、スティーブ・ジョブズに関する本は、何冊も買って読んできました。その中で何冊かお気に入りがありますが、これはその1冊です。

文体の良さ:

これは、訳者の三木俊哉さんの翻訳によるところ大です。読みやすく、好感の持てる文章です。

アップル復活ストーリー:

ジョブズを追放してから苦境に陥ったアップル。ギル・アメリオが志半ばでCEOを辞任します。スティーブ・ジョブズが、そこからどのようにアップルを立て直したかを、重要なポイントを押さえながら書かれています。

・社内で進んでいた無数のプロジェクトを、チーム自らにプレゼンさせ、継続するかどうかを判断した。プロジェクトの数は、ごく少数に絞り込まれた。

・製品も、プロ用/消費者用/デスクトップ/ノートブックの4種類に絞り込んだ。

・旧態化したOS9に代わるOS Xの開発を強力に推進した。ユーザーインターフェースに無類のこだわりを見せた。

そして著者は、ジョブズの仕事のスタイルについて触れていきます。

・完璧志向。世の中のものを、どうしようもなくひどいか、この上なく素晴らしいかの2種類にしか分けず、完璧でないものはけっして認めなかった。

・会社で働く人材も同様に考えていた。Aクラスの人材をリクルートして働かせ、Bクラス以下の人材が紛れ込むのを排除した。大きな組織を好まず、小さな組織にこだわった。

ジョナサン・アイブのデザイン哲学についてきちんと紹介しているところも、この本の的を得ているところだと思います。

その他に、

・広告を重視し、ロスのTBWA/シャイアット/デイと緊密なパートナーシップを築いた。

・新製品発表まで、事前に情報が漏れることがないように、被害妄想レベルまでの執念で秘密を保持した。

・すばらしい製品、革新的な製品に何よりもこだわった。アップルの重心は、製品にある。

・顧客がアップルの製品を買う体験まで責任を持ちたいと、周囲の反対を押し切ってアップルストアを立ち上げた。大手メディアもこの戦略を批判したが、アップルストアは大成功した。

このようにアップル復活の軌跡を辿ります。この本は、2008年に発行されたため、iPadはもちろん、iPhoneの成功についてもあまり書かれていません。破綻寸前まで傾いたアップルを、iMacが回復させて、iPodが大きく躍進させたと紹介しています。これは、まったくその通りです。なぜなら、コンピューター会社だったアップルが、iTunesとともに音楽事業に乗り出したことが、アップルのビジネスを、より消費者の生活に密着したものに変えたからです。

iPodの開発については、

・iPodを成立させた超小型ハードディスクなど部品側の事情。

・スクロールホイールという画期的なアイデア。

・iPodというネーミングの開発事情。

など、興味深いエピソードが紹介されています。

そして、この本の最後に、ジョブズのコントロール欲を説明し、ソフトウェアからハードウェアまで垂直統合するアプローチを、プラットフォームをオープンにする水平的アプローチと比較します。これは、すばらしい製品を作りたいという信念と、なにからなにまでコントロールしないと気がすまないジョブズの性格が組み合わされたものです。

・徹底的なフォーカス。

・製品を最も重視する信念。

・顧客体験を完璧なものにする統合志向。

これらアップルを成功せしめた要因を、関係者のコメントを多く引用してリアリティを感じさせながら的確に分析している点が、僕が多くのアップル・ジョブズ本の中で、この本を気に入っている理由です。

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