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ミニ:大衆車のイノベーション

      2015/11/05

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ミニというのは面白い存在です。あまりに一般的な名前なので、ミニと言ってすぐこの車が連想されるとは限りません。現在街中を走っているのは、BMWが開発したこちらのミニですし、

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ミニクーパーが正式名称だと思っている人も多いです。

僕にとってミニというと、両親が乗っていた車というイメージです。僕が生まれる前、海外に駐在していた若い両親が、ミニを買ってヨーロッパの自動車旅行を楽しんでいたと聞いて、子ども心に楽しそうだなあ、と思ったものです。でも、対向車線をはみ出してきた大型トラックと正面衝突して、ミニは大破、両親は危うく死んでしまうところでした。僕はミニに感謝しないといけません。

今回は、ミニを生み出したイノベーションについて書きます。

ミニを設計したのは、アレック・イシゴニスというギリシャ系イギリス人です。

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当時、中東情勢が不安定で、オイルショックが起こり、庶民は小型車から、さらに経済的な超小型車を買い求めるようになりました。これらの車は数百ccしか排気量がなく、ちゃんと車と呼べるようなものではありませんでした。

イシゴニスが在籍していた自動車会社の会長が、イシゴニスに、「超経済的な4人乗りの小型車」を開発するよう命じます。この制約がミニのイノベーションにつながっています。

人を4人乗せて、全長を最小限に切り詰める。自動車用語では「パッケージング」といいますが、必要な条件をどうやったら満たせるか、イシゴニスは考え抜きます。

そして生まれたのが、

・車体の前にエンジンを置き、前輪を駆動する前輪駆動(FF)

・エンジンを縦ではなく横方向に置いた横置きFF

・ギヤボックスをエンジンと並べないで、エンジンの下に置いた二階建て構造

というレイアウトです。さらに、乗員のスペースを確保するためにタイヤは小型のものを専用に設計させ、足回りも一般的な金属のスプリングではなく、イシゴニスの発想によるゴム製のバネが採用されます。

最小限のサイズを実現するために、ボディのデザインもイシゴニス自らがスケッチを描き、合理的で生産性を優先したものになっています。結果的にこのデザインも、ミニの魅力のきわめて大きな要素になりました。

オートバイを改造して外装をくくりつけたようなマイクロカーでなく、ちゃんとした自動車を庶民に乗ってもらいたい、という目標と、厳しい条件を満たす代わりにどんなことも許容される裁量で、この車の革新が生まれたと思います。

のちにイシゴニスは功績を認められて、王室から爵位を授けられます。なので、正式には、サー・アレック・イシゴニスと呼ばれます。

ミニは、ただのデザインが可愛らしいイギリス車ではありません。この3メートル足らずのシンプルなボディに、知恵を振り絞ったイノベーションが隠されているんですね。BMWがミニというブランドを買収したのは、これらすべての物語だったと思います。

 

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