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旅こそ報い

   

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シルヴァスタイン著。講談社刊。

奥付(本の一番後ろの方の発行情報のこと)を見ると、日本版は1977年の発行です。「かもめのジョナサン」が1972年の発行なので、同じ1970年代の作品ですね。ちなみに、スティーブ・ジョブズが、スタンフォード大学の卒業生に向けたスピーチで紹介した、「ホールアースカタログ」の最終号は1974年の発行です。

泥沼のようなベトナム戦争をひとつのきっかけにして、従来のアメリカ文化に対する反逆として、カウンターカルチャーが生まれます。

・ヒッピー

・ロック

・ウッドストック

・ドラッグ

・ラブアンドピース

・精神的側面の追求

・インド仏教

・禅

こういったものが当時の特に若者の心をとらえました。ジョブズが15歳から25歳までを生きた10年です。ジョブズの青春時代は、こういう時代だったんです。

物質的な豊かさに対して、精神的な充足。特に「自分」の内面の追求が、現在以上に強い欲求だったんじゃないでしょうか。まさに、この絵本のテーマは「自分探し」です。

あらすじ:

一部が欠けてしまっているかけらの「僕」は、何かが足りないと不満を感じていました。

そこで「僕」は、足りないかけらを探しに行きます。路上をころがりながら。

陽射しの強い時もあれば、雨降りの日も、雪で凍える日もある。でも、ころがり続ける道の途中でさまざまな出会い、ふれあいがある。

「僕」はいろいろなかけらと出会います。でも、一緒に一つのかけらになることを拒まれたり、小さすぎたり大きすぎたり。または尖りすぎていたり、角ばりすぎていたりとなかなかうまくいきません。

「僕」は壁にぶつかったり、穴に落ちたり多くの経験をします。

そしてある日、とうとう「僕」は自分にぴったりのかけらと出会います。二つのかけらはひとつになりました。完全な円形になったかけらは、とてもスムーズに路上をころがっていきます。

でも、あまりにもスムーズにころがりすぎて、今までふれあってきた自然や生き物ものたちとの時間を感じとることができなくなってしまいました。何より、完全な円になって口がなくなってしまったので、「自分の歌」を歌うことができません。

「僕」は考えた末、そっともうひとつのかけらを下ろし、自分だけで転がっていきます。

このシンプルな絵本は、完全な存在になることがゴールではなく、完全を目指して旅を続ける中にこそ幸せがある、というメッセージを放っています。ジョブズの名言の一つ、「旅こそ報い」とも符合しますね。

もう一つ、ジョブズが尊敬するボブ・ディラン最大のヒット曲である「ライク・ア・ローリングストーン」は、1965年の作品で、作者はまちがいなくこの曲の影響を受けていると思います。

カウンターカルチャーの中で青春時代を送ったジョブズは、ある意味で時代の影響を深く深く受けているんだとわかります。

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