One Simple Fact

アップルと自己啓発本とクルマのことなど。

*

【食事どきの人は見ないでください】先輩がアレを我慢できなかった話

   

Pocket

WC

車の広告を担当していたときのことです。クライアントの自動車メーカーが、工場の跡地を利用した大型施設を開業することになりました。元々は僕が担当しているプロジェクトではなかったんですが、担当者がメンタルをやられてしまって、急遽会社から、「お前がやれ」ということになりました。

開業まで残り1ヶ月くらいでした。会社に頼んで、信頼できる外部のスタッフを二人会社に常駐してもらい、不眠不休で準備しました。大型施設の開業なんて、やることは死ぬほどあって、開業式典にメディアを招待することもあり、毎日明け方まで仕事して、会議室のパイプ椅子を3つくらい並べて仮眠して、また仕事してました。

朝6時くらいからの会議なんて、完全に頭が回らないんです。「目的」とホワイトボードに書くところを、(あれ、目的の目は、目だっけ日だっけ?)なんて迷うくらいです。

とにかく、「戦場よりマシだ、鉄砲のタマが飛んでこないんだから」って、毎日のように自分に言い聞かせてましたね。

怒涛のような日々が過ぎて、いよいよ開業を明日に控えた夜。尊敬するダンディな上司と、一時的にプロジェクトを手伝ってくれた気のいい先輩と3人で、施設の最終チェックを終えました(二人のメンバーは、会社で仕事でした)真夜中2時くらいだったと思います。

会社に戻ろうとミニバンで走り出そうとした時です。

先輩が、「やべ、腹痛い」って言いました。近くにトイレはありません。もちろん開業する施設はトイレがありますが、まだ誰も使っていない新品(?)です。だいぶ遠くに工場のトイレはありますが、先輩はそこまで持たないと言います。

「しょうがない、(新しい施設のトイレに)行って来い」と上司が言いました。先輩は、お腹をかばいながら施設に入って行きました。

けっこう時間がかかって先輩が戻ってきました。

「遅かったな、大丈夫か?」ダンディな上司が優しく聞きました。先輩は首を振って、

「だめです」と言いました。

「何がだめなんだ、トイレには行けたんだろ?」

先輩は情けない顔で、

「水が、流れないんです」と言いました。そういえば、明日開業なので、電気は通じていましたが、トイレが使えるようになるのは、朝からの予定でした。

まずいです。開業に合わせて、テレビや新聞などメディア各社が来ることになっており、クライアントが施設をくまなく案内することになっています。トイレを取材することはありませんが、新規開業の施設のトイレにウ◯コがあったらまずいです。

ミニバンの中の3人は焦りました。徹夜徹夜で頭の回転もいつもとはちがいます。上司が、ふと車内にあったコンビニの袋に目を止めました。袋の中には夜食用に買ったおにぎりやら水やらが入っています。上司は袋をつかむと、先輩に言いました。

「箸で、つつけ」

「は?」

「箸でつついて小さくするんだ。そのあとペットボトルの水で流せ」

僕は(この人たちはいったい何を言ってるんだろう?)と呆然としました。先輩はうなずくと、「行ってきます!」と言って、施設に戻っていきました。

またしばらく経って、先輩が妙にうれしそうに帰ってきました。そして、上司に「バッチリでした。流れました!」と報告しました。そして、僕たち3人は、夜中の都内を会社まで車で戻りました。

開業式典は大成功でした。ゲストに誰もが知ってる日本人のメジャーリーガーを招いて、にぎやかなイベントでした。不眠不休の準備が報われてほっとすると同時に、前夜のできごとが蘇って、吹き出すのをこらえるのが大変でした。

死ぬほど大変な日々にも、笑える瞬間てあるもんですね。

 

 

Pocket

 - 一般記事