One Simple Fact

アップルと自己啓発本とクルマのことなど。

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「そんなの無理、できない」と諦めないことが可能にしたこと

   

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日経デザイン編。日経BP社刊。

アップルのデザインに関して書かれた本は、たくさんあります。この本が他の本と少し違うのは、iPhone4SやAppleTVのリモコンを実際に分解して、その製造方法まで踏み込んだ分析を行なっている点です。

・iPhone4Sを分解すると、パーツを組み付けるための無数のビスがあった。普通は組み立てやすさを優先して、ビスを減らし、一定の方向で組み付けるものなのに、そういう常識をまるで無視している。

・電源とスリープボタンは、沈み込む時の触感を上げるために、わざわざ部品を1つ追加してある。

iPhone4S

・ボリュームを調節するボタンは、普通のメーカーならゴム製にするところを、やはり触感を上げるために金属製のボタンを使っている。

ガラスパネルと周囲の部品は、神業のような高精度で製造されている。

AppleTVのリモコンはさらにすごいんです。

aluminum_remote

・このリモコンには、継ぎ目が全くない。ビスもない。無垢の金属板にしか見えない。でも、実際には中に基板が入っているし、ボタンも取り付けられている。

アップルは、これをいったいどうやって作ったのか?

リモコンを切断し、分析した結果わかったのは、無垢の金属板に穴を開け、そこから円盤状の切削機械でトンネルを掘るように左右に穴を広げていく。そうすると、中空の空間ができるので、そこに基板を収め、ボタン類を上から取り付けている。

密室の完全犯罪とか、お酒のボトルの中に帆船の模型を作るボトルシップじゃあるまいし、普通ならこんな方法を考えないし、実現もさせないですよね?

だって間違いなくコストが余計にかかるし、2枚の金属板で基板をサンドイッチのように挟んでビス止めしたって消費者は誰も怒らないからです。

アップルは、あちこちでそういうことをやっているんです。アップルストアのあの階段。チタンとガラスでできています。三層でできた高強度ガラスをチタン製のパーツで結合させているんですが、チタンは加工がとても難しい金属なんです。ガラスとチタンなんて、わざと困難な組み合わせを選んでいるんじゃないかと思うくらいです。

だって、ガラスじゃなくても、チタンじゃなくてもいいですよね?ステンレスとかスチールの階段だって、アルミシルバーの着色をすればいかにもアップルという世界が作れます。

でも、それでは純粋じゃないんでしょうね。全面ガラス張りの外観なのに、階段が全面金属だったら純粋じゃない、そう思ったに違いありません。

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アップルはそういうことをしているんです。アップル以上のブランドが出てこないのは、このあたりに秘密があると思います。

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