One Simple Fact

アップルと自己啓発本とクルマのことなど。

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マーケティング関係者必読。古典にして王道の1冊。

   

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アル・ライズ、ジャック・トラウト共著。海と月社刊。

マーケティングの世界は、さまざまな理論やフレームワークが生まれて、過去の理論を上書き、あるいは否定しようとします。時代は変化しますし、社会も変化します。

でも、基本原則は変わりません。なぜなら、人間という生き物は昔と変わらないからです。この本には、リアルでも、Webマーケティングでも通用する基本原則が書いてあります。

僕は、「ポジショニング」とか、「ブランドポジショニング」という言葉について、広告業界でも、ちゃんと理解している人は多くないと思っています。

「差別化でしょ?競合優位性の話だよ」とか、「バリュープロポジションてことだよね」とか、わかったようなそうでないような。

この本は、1969年頃に提唱されたコンセプトなんですが、一言で言えば、

「お客さんの頭の中で、どう思われているか。それがポジショニングである」

ということです。

人間の脳は面倒くさがりやで、すでに頭の中にある何かを元に物事を考える。だから、ポジショニングの基本的手法は、「消費者の頭の中にあるイメージを操作して、商品に結びつける」こととしました。

まだインターネットもないこの時代でも、すでに情報化社会と言われており、消費者は膨大な情報にさらされていたので、大きな費用をかけて声高に叫んでも、メッセージは届かなかったんですね。

コピーといえばゼロックス。コーラといえばコカコーラ。レンタカーといえばハーツ。先行ブランドが足場を築いているところにノコノコ出て行って、そのポジションを奪うのは無理。だから、ちょっとでも別の分野を探すか自ら作るかして、トップ=代名詞的な存在になることが大事なんだと。

これは真実だと思いますね。なぜなら、後発のブランドが、自社製品の方が優れていると謳ってトップシェアの製品からトップの座を奪った事例は歴史的に見てほとんどないからです。テープといえばセロテープだし、サランラップはサランラップですよね。

でも、現代のマーケティングの世界にいても、誤解が多いので驚きます。「競合よりもここが優れている、だからそこを訴求しよう」「競合より上回っていることをどうやって理解してもらうか」そんなミーティングは今日も変わらず行われています。

結局は、「消費者がどう思うか」が全てなんですよね。消費者が「神」なんです。以前の記事で紹介したTEDのスピーカーが、「人は誰も、自分のことしか考えていないのだ」というのは名言です。

あと興味深いのは、「「言葉」「名前」にこだわれ」」ですね。「◯◯といえば、◯◯」という形式のメッセージで、名前が平凡だったら記憶されないからです。その点で、野球のイチローは素晴らしいですよね。あれが苗字の「鈴木」だったらだいぶ印象は違うと思います。

そして、「消費者主体なのだから、メッセージはシンプルに」というのも同感です。複雑さを増すこの世界で、わかりにくいメッセージを送っても届かない。スティーブ・ジョブズは、iPodのことを、「1000曲をポケットに」と言いました。iPhoneのことを、「電話の再発明だ」と言いました。

シンプルなコンセプトを、シンプルな言葉で。この本の重要なメッセージです。とても読みやすい本なので、興味を持った方はぜひ。

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